黒い蓮の贈り物
三和出版 日中、木々の生い茂る山林の奥で、二人の金髪女性の変死体を眼下にハンバーガーをパクつく、この黒いクセっ毛に褐色中背のグウィンは、死体愛好家の仲間を相手に、携帯端末で死体の状況と、ことの顛末に持論を交えて報告。この惨状を撮影してネットにアップすることを約束すると、グウィンは他の死体を求め、さらに山林の奥へと足を踏み入れる。
この一帯にはよく他殺体が遺棄されることを彼は知っているのだ。
幼少のころ目の当たりにした女教師の強殺死体に魅了されてからというもの、グウィンは、いわゆる〈死体愛好家〉へと変貌し、今もこうして死体散策に余念がない。
そんな折、グウィンはふと木々の間になびく衣服に気づくと、我が意を得たりと駆け出して、巨木を前に立ち止まる。
そこには一体の、若い美女の首吊り死体がぶら下がっていて、グウィンは嬉々としてカメラのシャッターを押し始めるが何を思ったか、彼はピンと張ったロープをナイフで切って死体を地面に下ろすと、上下の衣服を一枚ずつ脱がし始めるのだった……。
《猟奇作として冒険譚として、またホラーミステリとして読みごたえのあるリョナ巨編★読後、作品タイトルの意味についても考察したくなる逸品です》