口角の赤蜻蛉

はじめ商店
小菅拘置所、そこには死刑をただ待つばかりの女性がいた。
長く艶めく髪、何も感じないような薄ら笑い。
口から覗く歯はここまで六人の肉を食べていたーー。
どこまでも狂った世界で彼女は拘置所を出て、軍隊に身を引き受けられる。
理由は彼女がそこでしか生きられない類いの存在だから。
疲れた日本、ただれた軍人、何もかも歯車が狂った世界で彼女は戦いに身を投じる。
囚人番号97番、それが彼女の名前。