何の変哲もない交差点

サマールンルン
その交差点はT字路である。
少し緩やかなカーブを描いた大通りにお城沿いの細い道路が交差する。
大通りの、丁度交わっている地点の左側には小さなスポーツ用品店がありその上にこの街でもっとも有名な二つの温泉の宣伝の看板が上下に二つ大きく掲げられている。
・・・・・この先あと4キロ。
この交差点には厳格な、いかにも鬼のような風貌をまとった門番が横断歩道の四つ隅、つまりは全12か所に平均的なビルの高さより高い槍を右手に持って直立不動で立っている。
その目は冷徹であるが、無表情にも見える。
小説。
約700字。
10ページ。