巫女と客人

ミニマム文庫
蛇行する細い山道の先に、その集落はあった。
深い緑に囲まれた山間の集落。
そこへと向かう為のバスは1日に2本のみ。
自然物と人工の田畑が織りなす田舎の景観は美しく、どこか非日常的に思えた。
澄み切った小川の水面は眩しく輝き、少女の黒髪は風に踊る。
夏蝉の声が木霊し、陽炎が立ち昇る頃、山の神は姿を現す。
年若くして亡くなった少女たちの遺影は物言わず、ただ静寂に佇む。
夜の帳が下りた頃、白装束を纏った面々は密やかに祭祀を行っていた。
巫女の身体には山の神霊が降り、歳不相応にも男を貪る。
爽やかな風に乗って甘美な香りが届き、心は惑わされていった。
本体PDFA6(文庫)サイズ総ページ数458ページ総文字数約24万字別添付ファイル壁紙用イラスト2枚おまけイラスト1枚