Socius・Phantasia (1)

Fox・tales
相棒(バディ)がいれば、何処へでも。
一次創作ファンタジー、Socius・Phantasiaの本編小説1巻です。
特殊な能力を持つ騎士、レオニスの出逢いと始まりの物語。
世界観…この世界には人類と、ネフィリム(半天使)、魔物がいる。
人類と魔物は古来から対立関係にあった。
地上で暮らすネフィリムは少数しかいない為、隠れて暮らしたり人類側に付いて生活している。
魔物を討伐する際、「バディ」がいると活動範囲が広がり、様々な任務を受けることができる。
⭐︎以下本文サンプル全身を苛む激痛に、ふと意識が浮上する。
重い瞼をなんとか開くと、拷問によって傷だらけになった己の身体が目に入った。
少し身を捩るだけでも痛む身体は、未だに血が流れている。
視界の悪さは額の傷から流れた血が原因だった。
力の入らない身体を支える、鎖に繋がれた手首は赤く擦り剥けて、焼けるような痛みを伝えてくる。
「……………つ」口の中に広がる鉄錆びた味は、もはや何度目かも分からないほど飲み下した自身の血だ。
気を失う前の記憶を手繰り寄せて、自分が今どこにいるのかを思い出す。
ここは王都の近傍にある、今は使用されていない古い砦だ。
騎士としての任務中に、蠍の魔物シャウラに不意を突かれて、捕まってしまったのだ。
そうしてこの地下牢に閉じ込められてから数日が経過している。
最初はなんとか脱出を試みようともがいたものの、結局は無駄な足掻きに終わった。
その時は運悪く、魔獣を操る魔法に長けた魔物が近くに潜んでいたらしく、抵抗すればするほど酷い目に遭わされた。
自身の持つ重力制御の力もその時に封じられ、今出来ることは無に等しかった。