友達に寝取られた口煩い肝っ玉母ちゃん

赤い蝋燭
「本当に貰って良いのか?」友人が不敵な笑みを浮かべた時にはもう遅く、自分が言った手前、声を震わせながらもそれを了承するしかなかった。
何もないという母さんの言葉とは裏腹に友人からはメッセージアプリを通じて次々と真実が語られる。
俺が知る母さんは「男勝りで口煩い肝っ玉母ちゃん」という感じだが、友人から送られるメッセージアプリには俺の知らない母さんの姿が映し出されていた。
胸がキリキリと痛い。
けど、全ては自分の責任で、俺があの時、安易に母さんを貰ってくれ、なんて言わなければ、友人はそんな行動を起こさなかったのかもしれない。
それを考えると次々に送られる俺の知らない母さんの痴態に心を蝕まれた。
徐々に友人に染まる母さん……これが「堕ちる」ということなのだと、日常生活から変わり始める母さんの姿に恐怖を抱く。
けど、俺には何もできない。
ただ間近で黙認することしかできない。
俺にできるのは母さんを信じることだけだった。