EPluribusUnusI
Club-Heaven 「グラディエ○ター」から派生した同時代史的後日談。映画キャラ&歴史人物を使った、半オリジナルの古代ローマ物語。
四部作の一作目。
映画を詳しく知らなくても、歴史小説として楽しめると思います。
映画とは一味違う「グラ世界」をお楽しみ頂ければ幸いです。
※原稿用紙、262枚程度。
***先帝コモド○スの死から二月。
帝国は、再び皇帝という名の権力者を冠していた。
夏の午後、誰もが想像し得なかった未来──だが、ローマはそうした未来をしか選べなかったのだ。
文官ばかりの元老院では、蛮族の脅威を払うことは出来ず、唯一の帝位継承権を持つルシ○スは、帝位を継ぐには些か幼な過ぎた。
結局、元老院身分の者の中から新帝を選出することで落着したのは、至極当然の成り行きであった。
他方、近衛隊長の座を退き損ねたクイント○スは、潰えた夢に心を残したまま、それを成し得なかった自らの非力を呪い、望まぬ未来に生きる自身の存在を厭うていた。
所詮、奇蹟は幻に過ぎぬのか?──想い願う心など構い無しに運命の糸車は軋みながら巡り、束の間の平穏を享受するパラティウム宮に、帝位簒奪の野望を抱く者たちの思惑が交錯する。