千の鶴と血に濡れた手

猫屋
その背に背負う長い棒のようなものが、人を殺すものだと知っている。
それでも、私は縋るしかないと思った。
「家族とは死に別れました。
あの長屋の大家さんが父の友人だったので……」住まわせる代わりに、この身を任せていたことを思い出す。
身体を差し出して住処を得た。
助けてもらわなくても、私は変わらない生活が続いたのかもしれない。
男に足を開くことでしか生きていく道など知らないのだ。
*PDFは文庫本形式採用・テキスト同梱*挿絵無しの文章のみの作品です。