千の鶴と血に濡れた手 猫屋 2009-10-17 19:00 猫屋 その背に背負う長い棒のようなものが、人を殺すものだと知っている。 それでも、私は縋るしかないと思った。 「家族とは死に別れました。 あの長屋の大家さんが父の友人だったので……」住まわせる代わりに、この身を任せていたことを思い出す。 身体を差し出して住処を得た。 助けてもらわなくても、私は変わらない生活が続いたのかもしれない。 男に足を開くことでしか生きていく道など知らないのだ。 *PDFは文庫本形式採用・テキスト同梱*挿絵無しの文章のみの作品です。