月奏哀歌
NightShifts 彼女の名前は、弓塚さ○き。ほんの少し前までは、彼女はいたって普通の学生だった。
恋をしても、なかなか想いを打ち明けられないような、そんな普通の女の子。
振り絞った勇気に彼は応え、デートに誘われる。
彼のためにと、彼女は学校帰りに服を買いに。
けれど、それが彼女の悲劇の始まりだった。
幼いころの事故により、病弱な体とともに、モノの死にやすい線が見えるようになった少年、遠野志○。
事故が原因でよく倒れる体を理由に、分家である有間の家に預けられた。
それから八年の歳月が流れ、遠野家当主から、戻ってくるようにと通達が届き、遠野家へと戻る志○。
ある日の帰り道。
志○は、抑えきれない殺人衝動に駆られ、金髪の女性を殺害してしまう。
それが彼の悲劇の始まり。
時期を同じくして、さ○きと志○の住む三咲町に、猟奇殺人犯が訪れた。
襲われた被害者の特徴は皆一様に、全身の血を抜かれている事。
現代の吸血鬼事件と新聞が面白く取り上げるこの事件から、事態は急変する。
戻ることを許さぬ悲劇の歯車が、一つ、またひとつと嵌まり、ゆっくりと動き始めた。