三重襲

式部
或る少女の視点。
少女は自慰に耽っていた。
器用に男に跨がりながら腰を上下に動かして、陰茎を膣から出し入れし、自らの肉体に湧き上がる快楽を貪り食らっていた。
或る男の視点。
男は、女の幻影を追い求めていた。
影絵の女……、或る集合住宅の一室の窓辺に映った女性の陰影に恋をしたのだ。
女への強い渇望が、精神を混濁させ、女への妄想を紡ぐ。
幻想の中で、女は妖しく囁く。
「あなたを愛しているわ……」妄想の中、女の魅力に蝕まれていく男の心。
だが、何の接点も持たない男にとって、彼女と交遊関係を築く事は夢の中の夢……、男の恋は静かに終わりを迎えるはずだった。
しかし事態は、一変する。
或る日、男はひとりの女性が集合住宅へと入っていく所を目撃したのだ。
其処は影絵の女性の住まう場所であり、彼女は男が想像した影絵の女性と同じ雰囲気を感じさせる女性だった。
「彼女があの部屋の住人なのかもしれない……!」運命的な出会いを感じた男は、急いで彼女の後を追う。
辿りついた先、住宅の一室、錆びた鉄扉の中へと消え去る女。
女の姿を追い掛け、閉じた扉の前に辿り着いた男は決意する、彼女を呼び出す事を。
男は呼び鈴の釦へと、静かに手を伸ばした……。