ZODIAC-前編・後編-
ACT-ZERO その年の春に「見上島」へと移住してきた「襟裳聖」と家族。学校生活も問題なく、友達もそれなりにいるという平凡な生活。
しかし聖は、この島に来てから度々「白昼夢」を見るのだ。
いきなり町や学校に誰1人としていなくなり、自分だけがぽつんとそこにいる。
それがなんなのか分からないまま、しかし気に留めることなく日々を過ごす聖。
そんな初夏のある日、聖は銀髪紅眼の少女「南爪らせん」と出会う。
現実の世界でも、そして、白昼夢の世界でも。
その日から、聖の周囲は一変することになる……らせんから向けられたのは、強烈な敵意。
それは殺意と呼べるもの。
しかし、その殺意は聖本人に向けられたものではなかった。
聖を背後から操ろうとしていた「敵」……「判定者」を名乗る者。
らせんは、その判定者と。
そして判定者が集めた12人の「ファクター」と戦うために、この島を訪れたのだった。
ファクター……12の星座(ZODIAC)、それぞれの力(運命)を持つ者たち。
戦い合うことで相手の「アストラル」を吸収し、自らの力となす。
そして、他のすべてのアストラルを吸収した者は「望みうるすべての力」を得るという。
12人それぞれが望むと望まざるとにかかわらず、戦いは行われていく。
ファクターたちには、戦わなければならない理由と、そして苦悩があった。
らせんとの出会いで、ファクターではない聖もこの戦いに巻き込まれていく。
らせんを救い、らせんに救われながら、2人の心は急速に近づいていく…………それが、どんな悲劇を導くことになるのか、まだ若い2人に知る術はなかった。