粉になった女島さち子

グループゼロ
体というものは、さらさらしているものなのね。
ほんとに体らしい体は、無色無臭のきれいな細かい粉末からなっていたのよ。
しじゆう体をこぼし、風に吹き飛ばし、気づかずにいた。
誰もが、こぼした体の粉を、そそそ、そ、と吹きながして、くぼみに吹き溜めるという風に、時に舞い上がりもしているらしい。
女は、湿疹のできた胸をスカーフで覆って外にでる。
地震だ!地平線も、水平線もふわふわ、山の稜線もふるふる。
人声が女の髪に小さい蝶を結び、リボンになって、はなれない。
震えてみえるのは、全部聞こえる、みんな歩調をあわせた共鳴現象なのだ。
女は突然、モモンガみたいな子供達に囲まれ身動き出来なくなる。
これは報復なの?それとも?