東方月都異聞
単色 時は1963年。レイセンの所属する玉兎戦闘隊は【土人形】との戦い、還土作戦の遂行に明け暮れていた。
これまでに損害こそなかったが、作戦は二十七回を数えている。
終わりの見えない戦いに、隊員たちは漠然とした不安を抱えていた。
冷徹で無愛想なレイセンは隊員からも少し距離を置かれている。
捕獲した土人形の処遇を巡ってレイセンは隊長のアイジスと対立することもあった。
しかし、可愛い年少組の子どもたちを守るのだという意志はアイジスや他の隊員たちと同じだった。
やがて第二十八次還土作戦が始まった。
いつもと同じように土人形を月砂に還す、ただそれだけの作業が始まるはずだった。
そのはずだった。