萌研究論集第4号「萌えおこし論日本橋での現地調査と諸理論の整理から考える」

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「おたく」や「萌え」は、21世紀ゼロ年代にマスメディアが一時期集中的に各所で取り上げたことにより、今や知らない人はいないだろう。
しかし、それらに対するイメージは決してよいものと言い切ることが出来ない状況でもある。
その様ななか、近年アニメファンの間で「聖地巡礼」と呼ばれる行為が多く行われるようになり、その流れをチャンスとしてまちおこしに繋げていく事例が見られるようになってきている。
「聖地巡礼」とは、アニメの視聴等より起きる動機から情報のフィードバックに至る一連の行動を指すもので、今日では観光学を中心として学術的研究とその成果の蓄積が進んできている。
埼玉県鷲宮町と『らき☆すた』や、滋賀県豊郷町と『けいおん!』など、作品の聖地化やその地への「巡礼者」の増加が見られる。
またその他にも、「萌え」キャラクターを新たに生み出してまちの活性化に役立てようとする動きも見られる。
本研究で取り上げていく大阪市浪速区日本橋は、人気イラストレーターいとうのいぢによる「音々」(ねおん)と「光」(ひかり)を発表し、関連グッズの発売やイベントを企画・実行している。
しかし、時の話題として沸騰することもなく今に至っている。
本稿では、社会学、観光学、おたく論、萌学(萌え論)などを取り入れた幅広い視野を以て、「萌え」キャラクターとまちおこしを取り巻く諸事象についての捕捉を試み、「萌えおこし」がどのような取組・現象であるのかについて論ずる。