猫世界(具体的大切論)
一発やる会 ◆――あらすじ――あるとき、街に『都市伝説(噂)』が流れ出す。それは、『災害に巻き込まれた一人の男』の噂話で。
それも、『嵐の中で、巨大な眼を見て、別の世界に飛ばされた』という『怪奇談』。
――飛ばされた世界は人が支配する世界にあらず。
そこは『魔法を使う猫が支配する』幻想世界。
――そう。
人は猫の家畜同然、奴隷同然に扱われる悲惨な世界。
そんな絶望に覆われた世界に迷い込んでしまった、【世間知らず】な『若造』。
『猫』に追われ、『人(猫の奴隷)』に追われて、息も絶え絶えの彼が出会うは、華奢な『従者』。
――命の恩人である彼女は『猫と闘って欲しい』と彼に言う。
彼の運命は『神の悪戯』に翻弄されるかのように狂ってしまう。
――彼が出会う異形で異端の『令嬢』によって、ますます狂ってしまう。
もうこの狂乱は止まらない。
わずか一日という刹那の時間で、幾つの問いかけと、数多の死線を超えることになろうとは、誰も知るすべはない。
――いや、知る者がいる。
そう、語り手は存在する。
【都市伝説好きの少女】が紡ぐ噂を聞きし、【異常者】たちが噂を紡ぐ。
狂った価値観と己が経験を噂に込めて、物語を語り継ぐ。
【殺人視考】が、【殺人容認主義者】が、【電波な削除人】が、【解体死体】が、【放置主義者】が、【死ねない少女】が、【転載する転載】が、【敗戦する暴君】が、そして、【歩く騒怨】が噂を謳う。
――まるで、新たな【異常者】を歓迎するかのように、愉しみながらに、哂いながらに。
物語が交差し、連鎖し、絡まり果てる。
――『大切なモノ』とは何か?『信じること』か、『意志を貫くこと』か、『元の世界に戻ること』か、『別の何か』が存在するのか。
――はたまた、無様に『生きること』か、それとも潔く『死ぬこと』なのか。
――何が正しく、何がおかしいのか。
その答えは、【客人の価値観により、作品が完成した】とき解かれるであろう。
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