幸福なダイヤ

黒と影社
「イタズラならもっとめちゃくちゃな番号で一〇桁全部書きますよ。
あそこにあった公衆電話の電話帳をめくってみましたけど、335Xは、ここ七ノ木坂周辺の区内局番と一致していて、おかしいのは505だけなんです」クレスの瞳はじっと能代を見据えている。
話の核心はこれからだと訴えている。
「何が言いたい?チワワ」「この505には別のメッセージが託されているんじゃないかと」「別のメッセージ?」「SOSです」「SOSだと?」見ようによっては数字の505はSOSに読めなくもない。
だが、探偵小説にどっぷりと漬かった子どもじみた発想に、能代は頬をひきつらせた。
「そりゃまた突飛な思いつきだな」私立のお坊ちゃん学校に通う少年チワワこと千輪那(ちわな)クレスと、警視庁の刑事であるシロケンこと能代監物(のしろけんもつ)が事件を解決に導く、1話完結型本格推理小説。
シリーズ第1弾。
全52ページ。