てとてをつないだあの日を

Trefle
空は変わらない。
向こうの国も、あの時も。
両親の都合により日本から海外に移り住む。
そんな経験のある俺は、海外の学校にあった『交換留学生制度』を利用してホームステイとして再び日本に戻ってくる。
俺が日本に戻ってきた理由はただ思いつきでふらりと旅に出るような、そんな気まぐれに似ていた。
住宅で少しずつ塗りつぶされていた町並み。
そこで久しぶりに出会った昔の友達。
彼らと過ごす穏やかな時間が流れていく。
そんな日常を過ごしていく中で、脳裏に染みだす光景と記憶。
幼い頃に交わした約束と、かすれた想い。
「なんでとおくにいっちゃうのさぁ……」でも俺にはどうしようもないよ……彼女はしがみつき大声をあげて泣いていた。
約束なんかよりも、離れてしまうことのほうが何倍も悲しかった。
だからもう一度――あの日離してしまった手を……もう一度――