呪われし三珠(みたま)

田村十百朗
仮に君の目に私が強い男として映るんだとしたら、それは――私が大人だからだね。
だけど、それは本当の強さとは違う。
心の強さは目に見えず、気持ちの強さは年齢でも決められない。
悲しいことに、人間という生き物は、往々にしてそこを見誤る生き物なんだ。
体格が違う。
知識の量が違う。
それは、どちらが先に生まれたかという単純な時間差の話であり、人間そのものの器を計るものじゃない。
けどね、その差は、間違いなく差であり、巨大な壁なんだ。
人間の真の強さは肉体的な力じゃない。
私もそう思う。
だけどね。
現実に、男性たちによる暴力によって、未来への希望を閉ざされてしまった娘たちには、ただの綺麗ごとにしか聞こえないだろう。