夢の続き

新嘲文庫
梅雨明け前の深夜。
山陰線の終電で眠りこけた「俺」は、夢を見た。
「キハ………いや、客車や。
12系、だっけか」車内はかつて俺が鉄道員だった頃や、教師になって京都へ通い出した頃の姿に戻っている。
そして真向かいには、岡本絵梨という当時の教え子。
左手に鉛筆をからめて問題集を見る彼女の姿も、今の俺の前にはあるはずがない姿だった。
「ちょうど今頃の雨の夜、彼女は俺のせいであの『悲劇』に見舞われ、人生が変わってしまった…」…ささやかな夢の話かと思いきや、時を駆けていくつもの希望と絶望が交錯し、そして夢から覚めても物語は続いていく。
届かぬ願いを鉄路に託して、守ることの尊さを描く「鉄道もの」。