SisterComplex
ハコニワトショカン 『皇子を産むこと』それが、本来皇妃になる資格などない一介の騎士が、その身に宿した命と居場所を同時に守る唯一の方法だった。実際に生まれた性別がなんであれ。
その大義名分が必要だった。
そんな理由が形骸と化しても。
「もう一人生まれたことだし、今更出て行けなんていわれないと思うけど」「いいです。
僕は、男の子でいるほうが」だって、男の子と女の子は違うもので、男の子と女の子は一緒に居られなくて、兄と妹では、結ばれない。
「やることは一緒なんだからそんなこと気にしなくていいのに」「気にします気にします気分的に!」くだらなくても譲れない最後の砦。
「もし、君が『妹』でなかったら、私の子を産んでくれたかい?」「そんなの、」意味のない仮定。
妹でなければ、出会うことさえありえなくて。
妹である限り認められることのないカンケイ。
「ああ、君は、本当に。
面倒くさいなあ」【本文31ページ】