エト・キューストーデ第一部(上)

作家椿
この世界に限りなく近い、けれども別の世界の物語。
「皇国」と、隣国「帝国」は、領土問題を発端とした戦争状態にあった。
戦争は長引き、いつしか戦争が日常になりはじめていた。
「皇国」の名はナターレ。
神に祝福された日の名を冠するこの国には、「憑いた」男を、「守る」ための存在がいた。
それらは一様に少女の姿をしており、いつしか彼女たちは守護天使、と呼ばれるようになり、天使に憑かれた男を、アンジェリーノ、と呼ぶようになった。
守護天使とアンジェリーノという存在は、兵器として非常に優秀であったがために、彼らは、彼女らは、容赦なく戦線の投じられた。
主人公、マリオ・アンデルセンもまた、ヘンリエッタという守護天使に守られるアンジェリーノのナターレ陸軍所属の下士官である。
自らを、アンジェリーノであることも含め、一個の戦闘単位としか見ない彼が、戦場で何をし、何を考え、何を思い、何を感じ、そして何になっていくのか。
戦争は、まだ、続いている。