穢淫

ゆめうつつ
覚悟を決め、優は教会の扉を開けて中に踏み込んだ。
彼の背後で音もなく見えない物体が扉を塞ぎ、優に気づかれることなく扉そのものに擬態する。
礼拝堂の奥。
不遜にも祭壇の上で、彼女は艶かしく足を組んで座っていた。
「あらあら、これは珍しいお客さんだこと」肉感的な唇から艶を含んだ良く通る綺麗なアルトが流れる。
一見すれば容姿端麗な妙齢の美女。
けれども人間では有り得ない蝙蝠の皮膜をその背に寛げ、細かい毛に覆われた尻尾を一糸纏わぬ体の後ろから大胆に覗かせている。
黒く濡れた胴をうねらせて、龍頭形をした先端が鎌首をもたげながらユラユラと揺らめいていた。
――本文より一部抜粋――完全書き下ろしの新作です。
人によって好みが別れると思うので、好きな方だけどうぞ。