乱舞

荒縄工房
その娘を最初に目撃したのはエレベーターの中だった――。
ここまできたら、偶然を必然にしなければ。
私ははっきりと彼女のことを意識した。
「もう会えないってことですか?」話の苦手な娘。
珠々華は一生懸命、言葉を発している。
「答えは常に、イエスかノーの二つしかない。
イエスと珠々華が答える間は付き合いは続く。
ノーと言ったらそこで終わる」簡単なルールを男は提示した。
「私は君を口説いたりしない。
私を愛してくれとは言わない。
珠々華が私の言うことをきいてくれるだけで十分だ。
それ以上のことは求めない。
憎んでくれてもいいし、嫌ってくれてもいい。
おそらく私を恨み、嫌うようになる」