サド侯爵「ジュスティーヌあるいは美徳の不幸」ドゥボア編
紅学素人 これまで、サド侯爵についてはサドという言葉だけが流通し、その小説が日本できちんとしたかたちで紹介されたことがありません。渋沢龍彦が翻訳した「ジュスティーヌ美徳の不幸」はサド侯爵がバスティーユの監獄で書いた草稿のようなものです。
その後、新ジュスティーヌと呼ばれる作品が「美徳の不幸」と称して翻訳されていますが、どの版本によるものなのかが判然としないものです。
この本は出版される前に発禁にされ、その結果、あまたの地下出版がなされ、どれが真正の作品なのかわからなくなっているものです。
さらに、この作品を書くに際して、ソドム一二〇日の原稿が失われていたと考えたサド侯爵が、「ソドム一二〇日」の内容を盛り込んでしまったために、冗長な作品となっている。
今回、紅学素人が翻訳するのは1791年のオランダで刊行されたバージョンです。
これが「ジュスティーヌ美徳の不幸」の唯一サド侯爵の生存中に刊行されたバージョンです。
できれば、その銅版画も紹介したいのですが、余りにも古色蒼然としており、若い読者のかたには読みにくいものと思い、「3D少女カスタムエボリューション」で翻訳者である紅学素人が作成した挿し絵をもって替えることとしました。
本来の刊本よりもふんだんに挿し絵を挿入しましたので、絵物語のように、サドの世界を楽しんで頂ければ、幸いです。
それが本来のサド侯爵の意図であったからです。
これから、各物語ごとに翻訳し、絵物語のように編集していきますので、是非、ご一緒にサドの本当の世界をお楽しみください。
今回は最初の盗賊団を率いる女のドゥボア編です。
しかし、ジュスティーヌが処女を奪われるのは意外にも、善人です。
是非、本文をお楽しみください。
115ページで字数は16000字です。