新・正義の国の第三王女・第二章
地獄の悶絶 目次第一話進撃開始第二話ゴブリンの山第三話王女対ゴブリン第四話撤退第五話蟻一匹通さぬ鉄壁の守備第六話王国の危機第七話港町の王子主人公紹介シルフィーネ王女正義の国の第三王女は、絶世の美女でありながら、剣の天才でもある。「王女の私が自ら悪を裁くことが、真の正義です」王女は、何より人間として素晴らしかった。
正義感が強く、心が純粋で、純真な少女。
洗練された物腰と、優雅な身のこなし。
それは天性の麗質。
狂おしいほどに愛らしい顔と姿。
その完璧な美しさは息を飲むほどだ。
市民から圧倒的な支持を得ている第三王女は、近い将来、一国の主になる自覚を持ち始めていた。
身体はまだ小さい少女のままだが、心はもう十分に立派な大人である。
国民も、王城の人間も、みんな王女の王位継承を待ち望んでいた。
王女の仲間達一人目召使いのシルク彼女は召使いであると同時に、こよなく弓を愛している狩人でもある。
その射的の腕前は、王国で一、二を争うほどである。
大空を優雅に羽ばたく鷲を、一撃で打ち落とすことができるくらいの凄腕だ。
城に仕える召使いは沢山いるが、彼女はシルフィーネ王女から特別に気に入られている。
主な仕事は、王女の身の回りの世話である。
掃除、洗濯、料理……。
王女の命令に背いたことは一度もない。
如何なる命令であろうとも、全て素直な気持ちで受け入れなければならない立場なのだ。
王女の仲間達二人目新米兵士のキャサリン王国で働く兵士の中で、唯一彼女だけが女性である。
数日前、正義の国に、初めての女性兵士が誕生したことになる。
戦う時に利用する武器は、主に槍を好んでいる。
ドジな性格で、たまにミスをすることもあるけど、シルフィーネ王女への忠誠心は誰よりも強く、王女から最も信頼されている親友でもある。
王女の身を守るためなら、自分の命さえも省みない勇気の持ち主だ。
人の痛みがよく理解できる優しい人格をしている。
「あなたは近い将来、立派な勇者になれます」と、王女から大きな期待を寄せられている。
王女の仲間達脇役城内で働く護衛兵・約百人正義の国には、約五千人の兵士が存在する。
その殆どは、街の平和を守るために巡回をしているけど、約百人くらいは城内を見回りしたり、待機している。
近い将来、と言っても十年後から二十年後の話になるが、王位継承が約束されているシルフィーネ王女に、いまの内から熱い視線を送っている兵士は少なくない。
彼らは王女を慕い、命令に背くことはなく、王国の未来のためなら、自ら命を捨てる勇気と覚悟がある。
よからぬことを考えたり、反乱を企んだり、王女に刃を向けるような輩も極少数だけならいるけど、それらは王女に斬り捨てられることになる。
王女の敵レオナルド王子港町のレオナルド王子は、シルフィーネ王女に復讐を企んでいる。
そのためには手段は問わない。
それは卑怯でも何でもない。
勝つためなら何をしてもいいのだ。
勝てば官軍、負ければ賊軍だ。
どれほどに卑劣な罠を仕掛けようとも、それらは全て常套手段なのだ。
レオナルド王子は、如何なる手を使ってでも、シルフィーネ王女を手に入れる予定だ。
いままで、欲しい物は何でも手に入れて来たし、もちろんこれからもそうするつもりだ。
邪魔する者や、逆らう者は皆殺しだ。