10%還元クラウンワークス虚実概論0章そして1章記憶の物質化阻止によるTSD予防と治療のあり方――あるいはスフィンクス

ClosedCircle
イリアスの時代がそうであったように、その都市は神〈イデア〉の主戦場となった。
イリアスの時代とは違って、殆どの人に知られないまま。
この物語で語られるのは、生死をかけた極限状態での、精神のありようである。
魔述は心的外傷の形をしている。
それを他人に行使することは何を意味するのか。
一人のかけがえのない少女が願った死によって、至高の偽りが隠蔽された。
偽りは螺旋を描いて総てを飲み込み始める。
最初は明治時代の遺構から。
次に奇妙な名を持つ高校・エディプス幣学校へ。
少年少女はカナリアのように、敏感に違和感を捉えた。
霊感テストなる流行は、街の緊張感のバロメーターと言えよう。
ここに七年前の殺人鬼が復活する舞台は整った。
再び、総てが傷つくだろう。
儚い願いと譲れない欲望をエンハンスするイデアの手を、取る者がいる。
取れない者がいる。
取らない者がいる。
切り落とす者が要る。
さあ、心的外傷を曝す覚悟はあるか。