オレンジリストバンド
カムリズム クラスの中心的で存在で誰にでも明るく話しかけてくれるあの子は、駆け出しのアイドル。自分のような陰キャにも平気で話をかけてくる。
まるで周りに自分の優しさをアピールするように。
クラスの中心で堂々と振る舞う彼女がどんなに自分に優しくしようとも、自分に振り向く事は永遠にない。
絶対に自分のモノにはならない事がわかっている。
だから、彼女の事を「苦手」という事にした。
彼女のアイドルとしての初ステージには、クラス全員が声を掛けられた。
勿論、クラスでハブられてる自分にも。
しかし、本番が始まると彼女は、心此処にあらずという暗い顔をしていた。
彼女達の曲であろう明るい曲とは対極の表情で踊る様は…無様というより他はなく、しかし、一生懸命練習したのだろう、曲が流れるのにあわせて淀みなく身体は動いている。
踊りおえた彼女は、クラスメイトからの声援を受ける。
失望の表情から彼女は羞恥心と屈辱心の入り混ざった表情を浮かべ舞台を後にする。
俺はそんな彼女を見てこれまでに感じた事のない興奮を覚えた。
後をつけると、プロデューサーらしき人物に感情を爆発させていた。
彼女は客が少ない事にショックを受け、あたり散らしていた。
クラスメイトの前であれだけ大言壮語したものの、所詮は駆け出しアイドルの初ステージ。
観客は通行人程度であった。
プライドが許さなかったのだろう。
しかし、プロデューサーらしき人物は一言「当然の結果です。
」と。
与えられた短い時間の中で精一杯頑張って来たのだろう。
仲間と仲良く、学校の後の貴重な時間を使って…。
無根拠な自信、それを支える信頼関係。
積み上げたものが崩れ去る。
様々な感情が渦巻いた表情でショックを受ける彼女。
ー本○未央のそんな姿を、俺はもっと見たいと思ってしまった…