風を食む

雨洩り宿
提督が仕事で、大井がお休みの日。
春の風が吹く午後、大井は買い物に出掛けた。
桜舞う道すがら、大井の頭によぎるのは先日提督の実家に帰った時の事。
提督は、初めて出会った頃の寡黙さに比べると、随分と柔和に笑うようになった。
「それは大井さんのおかげだ」提督の友人からも感謝されるのだが、大井にとってその“柔和過ぎる”提督の笑顔は、彼女も初めて見るような笑顔で………。