Pilgrimage

ayato sound create
父が危篤との報を受け急ぎ故郷へ向かっていた。
仕事の忙しさを理由にもう10年以上ぶりだろうか。
一般的な「息子」というものは果たして病床の父にどんな言葉を掛けるものなのだろう、羽田に向かう機内、男はそんな事ばかりを考えていた。
声を荒らげ名前を呼ぶのだろうか、それとも涙を滲ませ過去の出来事を語るのだろうか。
そのどちらにせよ、その源泉たるものもの、つまりは思い出の類が男には圧倒的に少なかった。
中略中年の看護師に2、3日が山と言われた。
結局父にはなんの言葉も掛けられなかった。
中年の看護師と事務的な会話を2、3言交わし病室を後にした。
病院を出ると不確かな期限だけが手元に残った。
頭の中でまだ無意識に父との思い出を探している感覚が残っていた。
稲毛駅までのバスを待つ間、ふと幼い頃過ごした町を見てみたいという思いが湧いてきた。
本来思い出があるはずの場所、思い出があった場所、そこに行けばなにか「折り合いがつく」ような気がしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーという僕の脳内小説に登場する千葉県の場所や建物をモチーフにした音源集になります。
思い出の在り処を探すため千葉県を巡る男。
過去と現在で変わるもの、変わらないもの等々、そんな曲が入っています。
各曲wavmp3m4aoggloopogg収録この作品はci-enで行ったアンケートからのリクエストより制作しました。
アイデア提供・地底と星様・MAD様