幻想世界考察覚書1 ー魔法と戦争ー

藍堂古鷹
異世界などを舞台とするファンタジー作品には、しばしば現実離れした事象や概念が登場する。
魔法などはその最たる例だが、そのような「現実」に存在しないものの存在は、物語中にしばしば矛盾やリアリティに欠けた違和感を生じさせてしまうものである。
これは現実に存在しないものを扱う上で避けることが難しい問題であって、大抵は「ファンタジー作品のお約束」として許容されるべきものだ。
とはいえ、やはりそういった「お約束」はしばしば濫用されることで加減を見失い、作品全体のクオリティを損ねる要因になってしまうのもまた事実である。
この「幻想世界考察覚書」と題するシリーズにおいては、ファンタジー作品におけるお約束のような事象に関して「ファンタジー作品において一般的な事象Aが存在すると仮定すると、事象Bはこのようであるのが現実的である」というようにファンタジーのお約束を成り立たせる上での理屈づけを行ったり、ファンタジー作品において濁されがちな部分について歴史的事実などを参考にしながら考察していく。
雑学書のような内容にはなってしまうが、読み物として難解かつ退屈なものにならないようできる限り善処していきたい。
この作品がファンタジーを好む読者のささやかな暇つぶしの道具になってくれれば幸いであるし、もしもこれを手に取った人がファンタジーを扱う創作者であったなら、著者の文章が少しでも才能と未来ある貴方の創作意欲や想像力を刺激できるよう祈るばかりである。
作中序文より抜粋この作品には以下のテーマに関する考察分が収録されています。
・ファンタジー作品の戦争における魔法の在り方について・魔法と籠城戦・攻城戦について・魔法と野戦について本文約18000文字。
PDF全23ページ