お母さんしかいない星
レモンケーキ 「恭太。毎晩星に向かって、一体何をお祈りしているの?」ベランダで祈る息子、恭太(きょうた)に、声をかける母、百合花(ゆりか)。
その時、突如空に謎の発光体が現れ、二人はその光に気を失ってしまった。
気が付くと、そこはドアのない一室。
窓の外には暗い宇宙が広がっている。
動揺する親子の前に、再度あの光が出現し、状況を説明するのであった。
「恭太くん。
私は君の願いを叶えるために、君たち親子をここへ連れてきた。
ここで、存分にその願いを叶えてもらいたい」願いが叶えば君たちを地球に帰す。
そう言い残して消え去る謎の発光体。
「願いって何?恭太は一体、星に何をお願いしていたの?」問い詰める母に、恭太は意を決して打ち明けた。
「お父さんが飛行機事故で行方不明になって。
そのせいで、お母さんが外に働きに出て行ってしまって。
僕は、お母さんが家に居てくれた以前の生活を取り戻したかったんだ。
その気持ちが積もりに積もって星に祈るようになってしまったんだ。
『お母さんを連れて、あの星へ行きたい。
そこで、お母さんと結ばれたい』って…」真っ赤になりながら泣き出す恭太。
そんな息子を、母は優しく抱きしめるのであった。
「いいのよ恭太。
いいの。
お母さんが悪かったわ。
寂しい思いをさせて。
さぁ、こっちへいらっしゃい…」