二ヶ月の魔王
魔界あ号営業所 「……ねぇ……ねぇ…!起きて…!」遠く、遠くから、朦朧とした意識の中……誰かが俺を呼んでいる声が頭の中に鳴り響いている。来るべき出来事がまだ遠いはずなのに、何度も繰り返したように見慣れている。
この全てに厭きるほど疲れ果ていたが、なんか心の底から強く、使命感が浮かんできていた。
俺はありったけの力でまぶたを開いて、目に注ぎ込むまばゆさに脳を覚ましてくれようとする。
「おはよう。
これで584…いや、もう585回だったのかな?」目に映ったのは頭にツノが生えた金髪の少女だった。
「まぁ、いいわ~別に大したことじゃないわ、なにせ最後なわけじゃあるまいし…」と、少女はぶつぶつ呟いて、視線をこっちに向けてきた。
「そろそろお仕事の時間よ、くつろぐ場合じゃないわ、今回もいつも通り猶予がないんだから、ね?」「さぁさぁ、行ってしまおう!あたしの魔王様!」「今度こそ……!どうか、魔族を救おう……!」