星空の滴と濡れ透ける先輩

催眠スマホの淫魔
僕は雨が降っているときの写真を撮るのが好きだった。
きっかけは、最初に小さな賞をもらえたのがたまたま雨の中の花の写真だったから。
二匹目のどじょうを追い求めて、耐水に強い装備を揃えて、ノウハウを積んで。
いつのまにかこの狭い分野では自信を持てるようになっていた。
その日は夜遅くにいい感じの雨になっていたのでいつものように出かけて。
そうして、捨て犬のように不安げに揺れる彼女と巡り会った。
二つ上の学年。
成績優秀。
文武両道。
みんなに信頼された副会長。
僕が知っている彼女のことなんてのはとても少ない。
だけど、これだけは断言できる。
──彼女は美しい。
「君は、たしか、写真部の〇〇が期待の新人だって盛り上がっていた一年生だよね」「……変なところを見せちゃったね。
暖かいコーヒーをありがとうね」「……ねえ、私のことを撮ってみたい?ううん、君に撮ってもらいたいの」「私のことを終わらせちゃうようなやつを──お願いしたいの」「さぁ、雨の中の撮影会をはじめよっか──写してね、私がおちるとこを」