三姉妹物語

ドラゴンフライ
人狼の「ウルフ」は、久しぶりにフゾークの村を訪れた。
フゾークの村とは、人狼のような半獣人が生活するいわば「隠れ里」だ。
もっとも、ウルフはフゾークの村に住んでいるわけでは無い、普段のウルフは、文字通り一匹狼として奥深い山中に住んでいる。
ウルフは、たまに迷い込んでくる人間に、道案内などをして少々の報酬をもらうことで生計を立てていた。
人狼といえども、人間を襲うようなことはしない。
そんなことをすれば、人間たちの山狩りの標的にされるのが目に見えている。
ウルフは至って平和的な人狼なのだ。
そんなウルフが山を降りて、フゾークの村に来た目的は、なじみの娼婦「フィナ」に会うためだ。
人狼は性欲は旺盛な種族のため、ウルフは生業にいそしんで、それなりに懐が暖かくなると、フィナに会いに来るのを日課にしていた。