潜入捜査官京子
ドラゴンフライ 「――京子……」「ん……、堂本さん……」堂本が京子の肩に手を伸ばし、その身体を抱きすくめた。広く明るい室内には、豪奢だが上品な家具類が揃えられ、大きな窓の外には宝石を散りばめたように見事な夜景が広がっている。
ここは、堂本が取引のために借り切ったホテルのスイートルームだ。
国内で最大規模の麻薬シンジケートを取り仕切る堂本は、大きな取引を控えてもけしてナーバスになることはなく、美しい情婦の身体を楽しむ余裕さえ見せていた。
堂本の無骨な手のひらが、京子の白く形の良い乳房を、イブニングドレスの上からもみしだく。
「んあっ……んっ、ダメっ……」京子が抵抗めいた言葉を口にした。
しかし、京子の身体は言葉とは裏腹に、艶かしく扇情的な動きを見せる。
京子の仕草は、堂本の気を引くための演技だった。