秘密遊技
ドラゴンフライ 「――それじゃあ、先生、先に体育用具室に行って、用意しときますから」美紀はいつものようにそう告げると、教室を後にした。少し足早に、放課後の廊下を歩きながら体育館に向かう。
この女学園の新体操部に所属する美紀は、部活のある日は前もって体育用具室に行き、使う用具のチェックすることを日課にしていた。
本来なら、用具のチェックは部員が交代制でするべき作業だ。
しかし、いつの頃からか、この退屈で面倒な作業は、美紀が常に率先してひとりでやるようになっていた。
顧問や他の部員たちは、彼女が何故そうするのか、と少し不思議に思いながらも、面倒な作業から解放されているのは確かなことなので、美紀のその行為を暗黙のうちに認めていた。
しかし、この作業をひとりで請け負う美紀には、誰にも言えない理由があったのだ――