ているている
CLOVER ◆あらすじ和銅三年(奈良時代)、外つ国より海を越えて典籍がもたらされた。このとき大切な典籍がネズミにかじられるのを阻止する目的で、守り神として二匹の仔猫が連れられていた。
金色と銀色の毛並みをもつ姉妹猫……。
人々は心に安らぎを与えてくれる仔猫を守護神と奉り崇めた。
それから千余年==B早春、大病院の獣医科で数年間の修行時代を経て、銀太は独立開業する。
六冥館と呼ばれる古ぼけた木造アパート……ここで町医者としての生活がはじまる。
奇妙なことに患者は一匹も来ない。
変わりに六冥館の住人が治療を求めて訪れる。
自身を守護神だと名乗り、二本の銀色の尻尾をもつ猫又の少女……。
タヌキの耳と尻尾を生やし、毎夜、幽霊のようにさ迷う譜代の女中……。
その胸に呪詛の釘が深々と打ち込まれている、ウサギ耳の少女……。
玉垣のうえを駆けまわり壁をすり抜けて遊ぶ、童心の幼子……。
六冥館には、人間はおろか動物も住んでいない。
彼女たちは忘れられた神々……すなわちモノノケであった。
俺もオバケだと勘違いされてるらしい、だから入居できたのだろうか。
銀太は狼狽し逃げ出そうとするが、考え方を改めとどまることにする。
やがて夜になる。
突如、庭から剣を交える響き。
銀太が駆けつけるとモノノケの娘たちと不気味な黒い物体が、戦いをくりひろげている。
「餓鬼道のネズミだ、ボクの姉様を食べに来たんだ!!」まだ見ぬもう一人の猫又の少女、金色の尻尾を一本失い病床にふせっている守護神。
金猫を治さんとする、銀太とモノノケたちの物語が綴られてゆく。