ヒトカタノオウ~アカシノクニ~
ArtelTeamPrefab それは夏の夜の夢から始まった。欠けてしまった夢の中で覚えているのは、ほんの僅かな幼い思い。
吊り橋が揺れる対岸で、真白の髪の彼女が寂しげに微笑んだ。
伝えなければいけない言葉を捜しているうちに、ふと目が覚めてしまう儚くも血に塗れた夢。
夢が意味することが何なのか、それすらもわからぬままに、主人公は夏の巡りを夢で知る。
ようようにして思い出せたのは、ミズハという少女の名前。
歪なその夢は、年月を重ねるごとに鮮明になっていた。
何も知らず、何もわからないまま、主人公は日々の日常を生きていた。
屋敷を取り仕切る咲月は相変わらずの様子で愛想もなし。
新しい家族の奈緒は世間知らずで恐いものなしで、少し危なっかしい。
少し普通とズレた、そんな日常の温かさ。
それが、いつまでも続く本当なのだと思っていた。
九天の空に鳴り響く花火の音は、在ったはずの日常の終わりを告げる。
辿り着いた夜の底で、主人公が見る色は誰の色なのか…人と妖の戦いの最中へと主人公は足を踏み入れた。
森厳な屋敷に帰る。
日常の裏に在ったのは妖を狩る一族の真実の姿。
繋いだ手を抱き続けて、主人公は人と妖の戦いの歴史を知る。