ドーターメーカー元気いっぱい

ふぉーちゅん♪
突然……俺の上司であり恋人である美智子が死んだ。
仕事が原因の過労死だった。
彼女の葬儀の席、周囲の親類たちがつまらないことを話しているのを耳にした。
「篠」という名の娘の処遇。
そう、美智子には一人娘がいた。
俺と美智子が結婚しなかった理由の一つだった。
俺は不快な気分になり、美智子宅の中庭に移動する。
そこで、さめざめと泣いている少女……美智子の娘・篠と出会った。
美智子によく似た美少女だった。
同情と。
それと。
美智子を愛しきれなかった罪悪感と。
ほとんど衝動に近い感情で、篠を引き取ることを決めていた。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします、お義父さん」つまり俺は未婚にして、血の繋がらない“娘”ができてしまったわけだ。
こうして二人での生活が始まったのだが篠はつとめて“親子”を演じている様にも見えた。
しかしその姿も可愛らしく、次第に俺は、彼女に強く惹かれている自分に気付いてしまう。
それは「篠」に、死んだ恋人の面影が見えるからなのか、義理とはいえ、「娘」という女性に対する禁忌による高揚なのか、それすらも判断できないほどに……