Fifth
RUNE ―――古文書に書かれた天使に心奪われたのは、まだほんの子供の頃だった『深蒼の夜、上天に掛かる夜翼の子は生まれ出でる』それを読んでからというもの、満月になる度に家を抜け出して、何度も親を困らせた。それでも、いつか古文書に書かれている翼の子に会うのだと、ずっと夢見ていた。
『翼の子導き育てる事適えば大いなる秘術と為す地水火風の精霊の加護を唱え、秘儀を駆使すべし』伝承が本当の事なのか、自分の手で確かめたかった。
だから神秘学や魔術を勉強しながら、百数十年に一度という……青みがかった月が、空の真中で真円を描く、その特別な夜を待った。
『即ち、翼の子―魔に魅入られては、悪魔となり』『――聖に高じては、天使となるべし』―――そして、その娘はそこにいた