顔のない月DVDCollectorsEditionRenewal

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~序~養父母が死に、彼は実家に帰ることになる。
幼少の頃を最後に、一度も足を向けたことのないその地へ。
別にただ、遺言に従って「挨拶」に行くだけのつもりだった。
あんなに俺の子供時代を束縛していた筈なのに、彼は実家のことを忘れてしまっていた。
彼の考えは浅かった。
いや、「忘れさせられていた」のかもしれない。
そこには、彼自身も知らなかった、美しくも可愛らしい許嫁が待っていた。
彼が知らず望んでいたかもしれない、理想の花。
そして過去も。
粘つき絡み付く、少年の見る暗い心の洞窟の霧、彼が知らずに逃げていたものが。
~人物~羽山浩一(はやまこういち)主人公。
民俗学過程希望の大学二年生。
本名は「倉木浩一」、羽山は養父母の名字。
女にはもてる「話していると、何だかとても安心している自分に気付く」らしい。
女性関係には節操がなく、女性の評判はあまりよくない。
幼い頃の記憶がなく、女性の顔を覚えられないという精神的傷害をもっている。
だから女性との会話にリアリティーが見いだせず、故に「来る者は拒まず男」になっていたが、冒頭、少女の亡霊に襲われた時のショックなのかその病は治る。
そして最初に見た女性の姿が鈴菜だった。
「二宮ひかる」の描く主人公男。
(身長は高く、がたいがよい。
髪の毛は切りっぱなしで、どちらかと言えばマイペース)幼少の時、極めて大きな神をその身に降ろしてしまったことがあり、『鬼神』の属性が半身として誕生する。
そのため成長するにつれ、お互いの魂が引き合ってきている。
現在は何かが「欠けた」状態を強く感じている。
本山教授(もとやま)本山ゼミを主催する教授。
一応、主人公が来年の専門課程から「恩師」と希望している人である。
倉木の伝承についてくわしくはないが知っている。
また沢口千賀子を「やんごとなき方々」に関わる人物であることを知っている。
研究一筋であり「主人公」というコネを使って念願の倉木の村を訪れることが出来た。
実は主人公を倉木由利子に売った男。
儀式に関わるためなら、一族のどんな後ろ暗いことにも協力する。
だが自分で手を汚すところまでは出来ない。
実のところ「倉木の秘密」を知る彼自身、殺されるためにこの村に招かれたのであるが。
沢口千賀子(さわぐちちかこ)本山ゼミの聴講生である。
「やんごとなき方々」に所属する「巫女」で、トラブルを隠密に解決する任務も帯びている。
閉鎖的な「倉木の村」に、自分の正体を隠して入り込むため、主人公を利用する。
事件のあらましの恐ろしさをまだ認識していなかったがために、儀式の生け贄として犯され殺される。
あるいは、「鬼」に関わる全ての人間達を殺すことによって、事態の解決を図る。
倉木鈴菜(くらきすずな)信州は倉木家のお嬢様。
今年の春に高校を卒業した。
今は「倉木神社の巫女」。
性格の明るい良い子なのであるが、お嬢様故のプライドの高さもある。
主人公のことは微かに覚えていた。
ちょっと箱入りな娘で、自分が双子であることは知らない。
恋愛に憧れているが、突然の「許嫁」の出現には反抗期も手伝ってかなりお冠である。
主人公に強く曳かれているので、その心を得るのは比較的簡単。
穢れをおろし、しかる後祓う巫女。
故に「鬼」に魅入られてしまう。
また処女であるのにも関わらず、肉体が開発され男を迎え入れる下地が出来てしまっている。
その事実に強い嫌悪感を抱きつつも、肉欲に戸惑い誘われている。
倉木水菜(くらきみずな)鍾乳洞に隠れ住む鈴菜の双子の姉。
精神年齢は6歳で止まっている。
人前には決して姿を現さず、その存在すら隠されている。
地下の鍾乳洞内に作られた館で生活し、昼間は人気のない河原位にしか連れ出されることはない。
ただ、鍾乳洞内の知識は大人達の意図したものより遙かに知っている。
そして大人達の意図は何処吹く風と、色々な場所に出現する。
(テレポートしている)主人公の記憶に強烈に植え付けられている存在。
無口で片言すら話せないが、その行動は唯々神懸かり的で、その存在は非人間的な程、清らかに保たれている。
倉木の「神」がその意志で、祭祀を正確に執り行わせるために誕生させた存在。
ただ一回、神の代理として鬼神と交わり、それによって歪んだ場を律することが出来る。
主人公が「人」や「鬼」である時、彼女を殺したり、彼女と交わったりすると、主人公は慈愛と安息の中消滅することになるだろう。
倉木チヨ倉木家の現最高実力者‥‥‥の筈。
呪詛によって死にかけている。
鬼婆。
狂気。
鬼気迫る迫力。
主人公を殺さねばならないのに(でないと一族が鬼に食われてしまう)、それを邪魔されている。
「やんごとなき一族」の代理人となってしまった現在の儀式が正しい者だと思っている。
生まれたばかりの時、倉木の屋敷が全焼し、その時、奇妙な服を着た青年に助けられている。
(過去の記憶の世界に飛ばされた主人公に)倉木由利子(くらきゆりこ)奥様。
姑の世話をかいがいしくする巨乳の美人で未亡人。
優しいが時折きつい表情をすることもある。
喪服なのかいつも黒系の服装をしている。
昔、生け贄として殺された巫女であるが、「石室の鬼」の想念によって生き霊として蘇った。
倉木の屋敷のなかでは、まるで実体を備えた存在のようにうつっているのである。
彼女は夫の気狂いが始まる頃屋敷に現れている。
そしてその力によって館に住む者は全て、彼女が何者であるかということに、疑問と違和感をもてなくなってしまっている。
希に彼女の存在に疑問を持