比翼は愛薊の彼方へ~連理の夢~
SandalDash主人公・相如は、第二皇子である恵珂に仕えている兄・繆賢に呼ばれ、宮殿へ上がることになった。
幼い頃から、誰からも好かれる優秀な兄を尊敬し、自分も兄のように、と思っていた相如は、喜んで都へ向かう。
それから一年。
相如は兄とともに恵珂に仕え、充実した日々をおくっていた。
主人である恵珂は、孤高で、まったく他人を寄せ付けない。
だが、兄・繆賢だけは特別なようだった。
繆賢と恵珂は、主従ではあるが、親友ともいうべき関係。
そんな二人をうらやましく思いながらも、時折、恵珂が見せる寂しそうな表情に、相如はなぜか心を奪われてしまう。
知らず知らずのうちに、相如は、恵珂にひそかな想いを寄せるようになっていた。
そんな時、父・武霊王に、後継者の座をかけて争い合うことを命ぜられる、璋瑶・恵珂・翔叙ラ。
しかし、たとえ父の命令であるとはいえ、争うのはよくないと、三兄弟は不戦の協定を結ぶ。
約束を信じた恵珂は、相如にも、繆賢にも、なにも話さない。
それが嘘の協定とは知らずに…。
恵珂暗殺のときは、すぐそこまで迫っていた。
◆登場キャラクター・相如(そうじょ)主人公十九歳兄・繆賢とともに、恵珂に仕える。
利発で、明るく素直な性格。
好奇心旺盛で、わりと誰とでも仲良くなれるため、宮殿内に限らず、都の町中にも顔見知りは多い。
やさしく優秀な兄・繆賢を心から尊敬し、自分も兄のようになりたいと思っている。
だが、その反面、繆賢に対する強い劣等感も持っている。
繆賢と仲のよい恵珂に、淡い思いを抱く。
・恵珂(けいか)二十三歳趙の第二皇子。
父・武霊王が第一皇子の兄・璋瑶よりも恵珂を溺愛したため、幼き日より、権力をねらう者達に命を狙われていた。
親しい人間が、自分のために傷ついてしまう。
それを恐れて、次第に誰も寄せ付けない孤独な性格となっていった。
だが、そんな自分の立場を理解していながらも親しく接してくれる繆賢にだけは、心を開き笑顔を見せる。
・繆賢(びゅうけん)二十四歳相如の兄で恵珂に仕える文官。
誰からも好かれ、優秀であったがゆえに、王太子・璋瑶の怒りを買い、第二皇子の恵珂に仕えた。
誠実でおおらかな人柄で、常に笑顔を絶やさない。
彼には孤独な恵珂も笑顔を見せる。
自分に対して、相如が劣等感を抱いているのを知っているが本当は相如のほうが、自分よりも優れていることに気づいている。
・璋瑶(しょうよう)二十七歳趙の第一皇子。
王太子。
恵珂、翔叙ラの兄であり、王の後継者のはずだった。
性格は狡猾で嫉妬深く、父王に愛されている恵珂を激しく憎んでいる。
翔叙ラと共謀し、恵珂暗殺を企てる。
・翔叙ラ(しょうけい)二十二歳趙の第三皇子。
頭脳明晰で優秀ではあるが、やや残忍な性格で、常に他人を見下している。
王座を奪う機会を虎視眈々と待っていた。
多くの食客を抱え、宮中でも権勢を振るう。
二人の兄達には表向き従順するが、心の中では軽蔑している。
争いが始まったとたんに璋瑶と共謀し、恵珂暗殺をはかる。
・廉頗(れんぱ)二十八歳勇猛かつ寡黙な趙の将軍。
王太子である璋瑶の命令により、恵珂暗殺のため、翔叙ラの食客である凶と滅をはじめ、多くの刺客、兵たちを率いる。
公子三人が争い合う前は、相如の良き“先輩”であった。
・凶(きょう)十八歳翔叙ラの食客の一人で本名は不明。
暗殺を生業とし、人を殺すことに快楽を覚えている。
性格は残忍で粗野。
滅とは双子。
どちらが兄か弟かは不明。
分かろうとも思わない。
“狩り”の時間を長く楽しみたいのに、滅がいつも獲物をすぐに仕留めてしまうことが一番の不満。
・滅(めつ)十八歳翔叙ラの食客の一人で本名は不明。
幼き日より、凶とともに暗殺を生業として生きてきた。
凶と違って殺しに快楽は覚えないが、罪悪感もない。
殺しは生きるための仕事。
なので、凶が“仕事”を楽しんでいることが理解できない。
感情を表に出すことは滅多にない。