集団痴漢電車【前編】

バニラ
【ストーリー】「主文、被告を猥褻行為により懲役6ヶ月に処し、同刑の執行を2年間猶予する」僕の名は、坂井勇次32歳。
身に覚えの無い痴漢行為により、有罪判決を下された。
裁判所を出て、呆然としている僕に一人の男が声をかけてきた。
「残念だったな。
無実なのに。
誰かに嵌められたんだよ」男の名は根本一男。
彼こそ「二代目、痴漢の神様」と呼ばれる痴漢の天才だった。
僕を嵌めた女は、彼の縄張りで堂々と僕を罠に嵌めたという。
痴漢道を極めた彼の目の前で起きた今回の事件は、彼にとって許しがたい出来事だった。
しかも、同種の事件がその私鉄沿線で、この半年間に12件も起きているのだった。
神様は僕に痴漢のテクニックを実際に披露した。
神様のあまりの早業に、呆れるやら興奮するやら、僕はたちまち痴漢の虜になる。
しかも神様は気付かぬうちに、女のバックから黒革の手帳を抜き取っていた。
手帳から分かった恐るべき事実。
「平成建設」それは、請負の痴漢被害業。
つまり痴漢被害を装い、依頼人の指名した人物を社会的に葬り去る闇の仕事人の集団だった。
神様はこの組織を葬り去る決意を固めた。
しかもこの女たちに、これ以上ないという恥をかかせて葬り去るという。
それは、まさに痴漢戦争ともいうべき一大抗争であった。