みとどけびと第壱話真夏に咲いた秋桜

スナック・ファクトリー
■□■あらすじ■□■『この世ならざるモノ』の存在を眼にすることができる、特別な力を有した少年“東雲幸多”。
人の世にあって人と異なる存在と交わることの出来る力。
人に気味悪がれ人外に目を付けられる不毛な力。
それゆえ幸多は、いつからか人・人外、共にどちらにも属することのない、ただ《見届ける》だけの存在として自己を確立していった。
幸多は見届ける。
生きている者の姿とその喜怒哀楽を。
逝き残ってしまった者の存在とその未練妄執を。
幸多は見届け、そして刻んでいく。
彼女たちが生きて逝った証を。
自分が、生きて居る証を。
【第壱話】「……ウルサイぞ、人の子が!朕を誰だと心得る!」蝉時雨が耳に張り付くような猛暑。
今日も今日とてブラブラと暇を持てあましていた東雲幸多は、一人の少女に出会う。
場違いなほど雅やかな立ち居姿に、反して幼く攻撃的なその少女は、自らを『秋桜』桜の精霊だと幸多に名乗る。
ゆえあってある老人に、恩返しがしたい、自分の存在に気が付いてもらいたい……。
そう言って人外の少女は、今日も老人に逢いにいく。
決して人の目に映らぬ、人ならざる姿のままで。
そのあまりに無謀な試みに興味を惹かれた幸多は、暇つぶし半分、少女の逝く末を見届けることを始めるのだった。
■□■登場人物■□■●秋桜(あきお)/CV:野々村紗夜「みとどけびと」第一話のヒロイン。
もう花開くことのない桜の老木が具現化した精霊。
しかし見た目と性格は、老年の精霊とは思えないほど子供っぽく高慢で尊大で破天荒。
とある理由である爺さんに憑きまとっていた所を幸多に発見され、盛大に拳を交わし合ったあと、紆余曲折あって幸多と関わりをもつことに。
●宇佐見美佳代(うさみみかよ)/CV:櫻井ありす幸多の幼馴染にして、幸多が心を通わす唯一の友人。
神社で本職の巫女をこなす少女。
幸多をも凌ぐ霊媒体質だが、その才能はむしろ降霊(自分の身体に霊を下ろす)や除霊(霊を在るべき場所へと導く)方面に特化していて幸多のように霊と意思疎通をすることや、霊を見ることはできない。
●東雲幸多(しののめこうた)本作品の主人公。
この世ならざるモノ(怪異、幽霊、妖怪等)の存在を知覚することができる特異体質の持ち主。
人になじめず、さりとて人外たちの交流に傾倒するわけでもない、中途半端でいい加減を自認している。
ゆえに親しい友人はおらず、家族とも疎遠ではあるが、取り立てて世の中に絶望してるわけではない良くも悪くもドライな性格の持ち主。