みとどけびと第弐話盛夏に違う二重想

スナック・ファクトリー
■□■あらすじ■□■『この世ならざるモノ』の存在を眼にすることができる、特別な力を有した少年“東雲幸多”(しののめこうた)。
人の世にあって人と異なる存在と交わることの出来る力。
人に気味悪がれ人外に目を付けられる不毛な力。
それゆえ幸多は、いつからか人・人外、共にどちらにも属することのない、ただ《見届ける》だけの存在として自己を確立していった。
幸多は見届ける。
生きている者の姿とその喜怒哀楽を。
逝き残ってしまった者の存在とその未練妄執を。
幸多は見届け、そして刻んでいく。
彼女たちが生きて逝った証を。
自分が、生きて居る証を。
【第弐話】「ねえ、ひとつ訊いていい?ボクって……誰?」東雲幸多の前に、純白の羽と共に『舞い墜ちてきた』少女『花生美羽』彼女は名前以外の記憶を喪失したまま、延々と学校の屋上から身を投げ続ける自縛霊だった。
少女は何者なのか。
そもそも死んだことすら気づかず、死のループを繰り返しているのはなぜなのか。
そして、美佳代のチカラを持ってしても天に還すことができない、その理由とは。
抜け出すことのできない投身の連鎖。
美羽を縛る重い想い。
その正体を見届けるため、幸多は少女の想い出さがしに付き合うのだった。
■□■登場人物■□■●花生美羽(はないけみはね)/CV:奥山歩みとどけびと第弐話のヒロイン。
終わりのない投身を繰り返す自縛霊。
だが本人は、そんな不穏な呪縛に囚われているとは思えないほど、極度の天然&不思議系の思考の持ち主。
幸多に言われるがまま天に還ることを了承するものの、なぜか思うようにいかず、結果幸多とその理由を探すこととなる。
●東雲茉莉花(しののめまりか)/CV:逢川奈々幸多の義理の姉。
性格よし器量よしと、まさに理想の姉を絵に描いたような人物ではあるが、義弟に対して家族仲以上の面倒をみようとするのが唯一の欠点。
とは、その義弟本人である幸多の談。
通学のため村から離れて独り暮らしをしているが、ふらりと実家に帰ってきては幸多の面倒をみようとして、その都度煙たがられている。
●秋桜(あきお)/CV:野々村紗夜みとどけびと第壱話のヒロイン。
もう花開くことのない桜の老木が具現化した精霊。
しかし見た目と性格は、老年の精霊とは思えないほど子供っぽく高慢で尊大で破天荒。
とある理由である爺さんに憑きまとっていた所を幸多に発見され、盛大に拳を交わし合ったあと、紆余曲折あって幸多と関わりをもつことに。
●宇佐見美佳代(うさみみかよ)/CV:櫻井ありす幸多の幼なじみにして、幸多が心を通わす唯一の友人。
神社で本職の巫女をこなす少女。
幸多をも凌ぐ霊媒体質だが、その才能はむしろ降霊(自分の身体に霊を下ろす)や除霊(霊を在るべき場所へと導く)方面に特化していて幸多のように霊と意思疎通をすることや、霊を見ることはできない。
●東雲幸多(しののめこうた)本作品の主人公。
この世ならざるモノ(怪異、幽霊、妖怪等)の存在を知覚することができる特異体質の持ち主。
人になじめず、さりとて人外たちの交流に傾倒するわけでもない、中途半端でいい加減を自認している。
ゆえに親しい友人はおらず、家族とも疎遠ではあるが、取り立てて世の中に絶望してるわけではない良くも悪くもドライな性格の持ち主。