霞外籠逗留記

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■ストーリー青年は気がつくと大河の上、古風な渡し船に揺られていた。
割れた般若の面を被った渡し守の女は、「お前の望んだ場所へ行くのだよ」と告げるが、青年の記憶はなぜか曖昧になっており、ただ「今までいたところではないどこかに行きたい」という望みがあるのみだ。
渡し守に案内されるままに渡されていった先は、大河に浮かんだ中州に築かれた、巨大な木造建築物。
渡し守が言うには「旅籠だよ」とのことであるが、その内部は単なる旅館とは思えないほどの多種多様な部屋・空間に満ち満ち、水路まで流れている迷宮の如き小世界であった。
―――お前が飽きるまで、ここに逗留すればいいさ―――主人公は旅籠で日々を送るうち、旅籠の管理人の一族の末裔である令嬢、館内の図書室に住まい、若い男の肉を好むと畏怖される鬼女、世事に疎くどこかしら茫洋とした頼りなさを感じさせる琵琶法師、といった女性たちと知り合う。
彼女たちとの仲が深まるにつれ、青年はこの旅籠に留まりつづけるか否かの選択を迫られるようになる。
彼女たちと送る日々を捨て去りがたく、青年が旅籠に留まることを望むようになった時、渡し守が現れ問いかける。
青年の記憶を回復させ、問いかける。
―――お前はもともといた場所から逃げ出したくって、ここに来たんだ――――――さあ、どうする?ずっとここに居続けるかい?――――――それとも、もといた場所に帰るかい?―――青年は、果たしてどちらの道を選択するだろうか。
■登場キャラクター●青年主人公。
気がつくとこの旅籠に来ていた。
来るまでの記憶は霞がかかって曖昧だが、日常生活には不自由ない……というか、自分の過去が思い出せない以外はむしろ博学と言っていいほどの知識を残している。
性格的には堅物で純情(しかしわりと根は助平)であるため、旅籠に居合わせている一癖も二癖もある女性陣には戸惑い翻弄されることもしばしば。
状況に割合あっさりと順応しているが、時折「自分はこれで良いんだろうか」と悩むこともしばしば。
しかしなぜそう思うのか、記憶が失われているせいか、わからない。
●令嬢(CV:天水るみ)古い古い一族の令嬢。
この旅籠宿の管理人一族の末裔。
割合愛想もいいが、自分に言い寄り利用しようとする者たちに内心で怒りを燃やしている。
女としての憂き目に弄ばれるようにみえて、それを利用するだけのしたたかさを持つ。
なおかつ、それでも最後の優しさ、高潔さだけは失わない。
どれだけ犯しても傷つかないように見えて、実はぼろぼろ。
●司書(CV:香澄りょう)鬼女。
旅籠の片隅の寂れた図書室に住まいして、勝手に図書室係などをやっている女。
人を食らう、好物は若い男であるなど、様々な噂が立っているため、周りには人が寄りつかない。
淑やかな美女風の外見だが、左腕の肘から少し先より常に少し血を滲ませていて、いささか血腥いイメージがつきまとう。
図書室でいつも空腹を紛らわすべく、読書に耽っているため、知識量は豊富。
●琵琶法師(CV:愛原瑞生)旅籠の中の温室によく現れる。
それ以外の時はどこで何をしているか不明。
なにやら浮世離れしており、一見すると愚鈍とも取られかねないが、琵琶を弾く事だけは神域に達している。
常に緩んだ表情をしており基本的に優しいのだが、琵琶の曲を追い求めるときだけは人が変わって、物狂おしい様相を見せたりもする。
●渡し守の女(CV:歌織)不思議な小舟の主。
旅籠を取り巻く大河や内部の水路に出没し、時に求められ、時には彼女自身の意志で、主人公を様々な場所に渡していく。
常に割れた般若の面を着けている。
時に饒舌になったり、時に黙しがちになるが、そのギャップがなぜか人の気に障らない。
というか、人の気分を察するのに長け、共にいることを苦にさせない。
伝法な言葉づかいをするが、口調自体は柔和で、喋るとなると人あしらいがいい。
●お手伝いさん's(CV:草柳順子)旅籠のお手伝いさん達。
皆似通った顔をしていて、どうやら旅籠付きの妖精のような側面もあるようだ。
忙しいときには数が増え、暇なときには減ったりする。
わりとあちこちでこき使われている。