夏色蜜汗~えっちな少女としたたる匂い~

アンモライト
夏――休みを使った生まれ故郷への里帰り。
俺には、ここに住んでいた頃の記憶がない。
まぁ大した事じゃない。
交通事故で記憶を失ったなんていう、掃いて捨てるほどによくある話だ。
だから里帰りというよりもちょっとした小旅行気分でやってきたんだけど……。
けっこう歩いたのに、今のところ誰ともすれ違ってないぞ。
やけに静かというか、人の気配みたいなのを感じないし……。
「お、あれは……」学園だ。
夏休み中のはずだけど、校門は開いてるみたいだな。
門が開いてるってことは誰かしら教員がいるはずだし、どこか泊まれる場所を聞いて……。
「……お、お邪魔しま~す……えぇっと、職員室ってどこに――」――その光景を見た瞬間、思考が固まった。
木にもたれかかり、可愛らしく寝息を漏らす少女。
立派な女性へと変わっていく長い階段――その一段目にそっと足をかけたような、そんな少女がそこにいた。