セクフレ幼馴染~処女と童貞は恥ずかしいってみんなが言うから~
ORCSOFT 世の中には主役と脇役がいるという当たり前の現実を、大体みんなが思い知る──そんな学生時代。学校という小さな箱庭のなかで形成される生態系、そのピラミッドの上位に君臨するのは大雑把に三種類。
運動が出来るやつ。
見た目が良いやつ。
どっちもイケるやつ。
頭の良しあしは、そんなでもない。
出来るにこしたことは無いけど……ってなもんだ。
進学目前という時期には底上げされる魅力だけれど、入学したてのピカピカの一年生には余り重視されない。
色々なところから寄せ集められた群れのなかでまず最初にマウントを取る要素として強いのは、やはりオスとしての魅力、メスとしての魅力ということなのだろう。
そんなピカピカの一年生たちから輝きが褪せる頃、夏休みを目前に控えたある日。
瀬尾幸久(セノオユキヒサ)──あなたは、小さな頃から知ってはいるけれども幼馴染と胸を張って言うには微妙──という程度の付き合いの女友達、秋原志穂(アキハラシホ)とファミレスで駄弁っていた。
クラスの過半数を占める脇役組の男女数人ずつが連れだって、下心以上合コン未満という微妙な催しを開いた、その帰りだ。
「意外とさ、あんな風にさらっと付き合っちゃうもんなのね」「ま、告ってからの関係のが長いワケだしな。
はじめは気軽にってことだろ?試してみて、ダメなら次だ」「おお、おお、大いに語りますなあ。
童貞男子クン♪」「うっせ。
お前だって処女だろうが」「処女は資産。
童貞はリスク」「男女平等の思想に反しとる」「にひひひひひひ♪」そうなのだ。
学生という、常にイベントに飢えている生き物の習性として、今日はめでたく一組のカップルが成立した。
そしてそれはもちろんあなたと志穂──ではない。
くっついたのは、男側の主催者と女側の主催者だ。
何のことは無い。
一対一の緊張感をまぎらわせるために何やかや理由をつけて知り合いを呼んで巻き込んだ、半ば出来レース感のあるイベントだったのだ。
他の参加者は良い面の皮である。
「……あいつら、あのあとすぐセックスすんのかな」「おい、やめろ。
同級生の性事情を赤裸々に妄想するな」「だって、あのあたりラブホ幾つもあるし」「……お前、利用する機会も無いのにラブホの場所覚えてんのか」「……あんただって使うアテの無いコンドーム財布に入れてるでしょうが」「ばっ!ちっ、ちげーし!これは金運アップのアイテムだっつーの、親戚のオジサンに教えてもらったんだっつーの!」「あんた親戚付き合いもうちょっと考えたほうが良いよ」呆れたように言ったあと、志穂はあなたのことをじっと見る。
「処女と童貞は恥ずかしいって、みんなが言うんだよね」「なんだ。
女同士でもそういう話になるんだな」「まあね」さらりと言ったあと、志穂はあなたを上目遣いに見つめる。
物言いたげな瞳で。
言おうかな、やめようかな、そんな迷いの見える視線を訝しみながら受け止めるあなたに、志穂は続けた。
「──あたしたちもしよっか。
セックス」「はぁ?」お前あんま人をからかうのも大概にしろよ、処女のクセに強がって──と。
軽く返そうとしたあなたを、真正面から射抜く志穂の瞳。
にんまりと人の悪い笑みを浮かべているくせに、そこには確かな熱が浮かんでいた。
「男としての自信、女としての自信を持つのに手っ取り早いのはさ、やっぱ経験だと思うワケ」「今んとこお互いそういう相手はいないわけだけどさ、将来のためにそういう自信つけておくの、アリじゃない?」「そんで、そういう自信から生まれる余裕が魅力的に見えるってのも、ジッサイのとこあると思うんだよね」「……お前、そんな、そんなさあ、あっけらかんと……資産なんだろ?」「経験しといて得られる資産もあるし?それに、あんたにはメリットしかない提案じゃない?」志穂は言って、にひひと笑いながら、胸元に指を運ぶ。
そして、ファミレスのテーブル越しに身を乗り出すと、シャツの襟首をぐいと押し下げた。
運動部だからか、健康的でありながらも肉付きの良い上半身、その汗ばんだ谷間が見える。
そこだけ日に焼けていない丸く豊かな膨らみは、どうしようもなくエロかった。
「あんた、普段からちらちらあたしの胸見てるの知ってんだからね。
隣の席を良いことにさ」「……お前、顔はそんなでもないけど、身体はマジでエロいからな」「……サイテー♪」楽しそうに笑いながら、志穂は乗り出していた身体を元に戻す。
大きな尻をボックス席のシートにぼすんと落とすと、決定事項を通達するように言った。
「ドリンクバーお代わりしたら、あんたの家に行こ。
今は誰もいないんでしょ?」