全てを放り投げてたどり着いた湖(みずうみ)幼馴染がそこにいて・・・・・
逢瀬のひび ゾンビのような顔をして通勤列車の中、サラリーマンOLたちは眉間にしわを寄せスマホを触っている。皆仕事で疲れ果てている。
それは俺も同様である。
窓の外を、キリンのように首を持ち上げて伸ばし見つめながら、こんな人生は嫌だと嘆く俺。
早めに手を打たないとこのままではどんどん・・・・・。
俺は全てを放り投げてしまうことにした。
夜8時半。
帰宅後すぐバッグを床の上に落とし、そのまま財布だけを持って家を出た。
こんなことをするのなんて俺だけではないかなどと過(よぎ)ったりもした。
ゆくあてはない。
ただどこかへ逃げることだけがぼんやりと漠然と頭の中にあった。
これで全てから解放される・・・・。
根拠もないそんな開放感で心が一瞬だけ晴れやかになる。
一瞬だけのことだと分かっていないわけではない自分がいる。
だけど嬉しかった。
切符はもちろん片道。
列車に乗り込んだ。
帰ることは頭になかった。
エッチな小説。
約2100字。
14ページ。