義理の姉との7日間生活5(下)
せなか 表紙:1pキャラ紹介:1p扉絵:3p本編:53p【ストーリー】失敗した。恋に堕ちてしまった。
彼に全て話した。
割愛はしたが、脚色はせず、私のしたことを全て。
自分から体の関係を結んでおきながら、身勝手の極みである事は重々承知しているが、彼の告白を受けて、もはや他に方法は無かった。
なのに、彼の反応は素っ気ないものだった。
私は、失望を望んだのに。
私を見限り、本来あるべき幸福を見つけてほしかったのに。
できる限りの償いも、する覚悟だったのに。
でも彼は言う。
「今の私が好き」と。
何故か、涙が溢れてしまった。
涙を盾にする女にだけはなるまいと決めていたのに。
彼に抱きしめられて、いよいよ抑えが効かなくなった。
まるでコドモの様に泣いてしまった。
この感情が何なのか、理解出来ない。
ただ、あの出来事以降、今の今まで自分の中にあった何かが、涙と共に溶けて行くような感覚があった。
彼に言われるままに、初めてゲームで遊んでみた。
私の隣ではしゃぐ姿を見ていると、普段落ち着いてはいても年相応の少年なんだなと、改めて実感する。
途中、彼のスマホに着信。
お義母さんからだ。
見ないフリをしていた罪悪感が一気に広がり視界を覆う。
彼が通話している最中、まるで犯罪者の様に息を潜めた。
いや実際犯罪者なのだが。
それでも会話は聴こえて来る。
どうやらお父さんと話しているらしい。
彼が室外に出る。
何か私に聞かれるとマズい事でも話すつもりなのか。
もしかして、私達に起きた事を…?いや、まさか…。
いけないと理解しつつも、聞き耳を立ててしまった。
彼がお父さんに伝えたのは、感謝の気持ちだった。
彼の実の父親は離婚後家を出て行ったらしい。
その後、彼の母…お義母さんがずっと辛そうにしているのを、傍で見守って来た。
母親にある程度見切りをつけていた私と違い、まだ幼く、甘えたい年頃の彼にとってそれは…どれほどのトラウマだろうか。
それでも彼は、「母を幸せにしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えている。
逃げてばかりの私と違い、自分や家族と向き合おうとしている。
前に進もうとしている。
恥ずかしい。
一瞬でも疑念を抱いた事。
なし崩し的に彼と、家族との事から目を背けようとしていた事。
これほど自分に対する怒りと失望に満たされた事はかつて無い。
これ以上、自分を嫌いになりたくない。
彼のスマホを奪う様にして、お義母さんに感謝を伝えた。
そして…もういいだろう。
認めてしまおう。
健全な形ではなく、この先も私は彼にした事を後悔して生きて行くだろう。
それでも、今この時彼を想う気持ちにだけは、一片の偽りも無い。
「私も…ハルさんが好きです」改めて裸で向き合い、信じられない程心臓が跳ねる。
これが、好きな人との…。
彼の求める事には全て応えたい。
彼を幸せにしたい。
その気持ちは膨れ上がる一方で、かつて無い多幸感に満たされた。
…そうは言っても、自慰行為を見せて欲しいという彼の言葉に、「はいわかりました」と直ぐに応じれる程、私の心臓は強く無い。
お父さんのワインをコップに注ぐ。
この飲み物のせいで失敗ばかりしてきたが、素面では彼の要求に応える事は難しい。
だが、問題がある。
私は、お酒に弱い。
お酒を飲むと、起きた事を断片的にしか思い出せなくなる。
彼との時間を、一瞬たりとも忘れたくはない。
でも…あぁそうか。
私はある方法を思いつく。
不安だが、多分バレないだろう。
終わった後すぐに寝て、その後知らぬ存ぜぬで通してしまえばいい。
迷っている時間は無い。
もうすぐ、「5日目」が終わってしまうのだから…。